韓国の通信社 連合ニュースによりますと、韓国の裁判所は、22日夜遅く、イ・ミョンバク元大統領に対して、検察が収賄などの疑いで請求していた逮捕状を出し、ソウル市内の自宅で待機しているイ元大統領は、まもなく逮捕される見通しです。韓国の大統領経験者が逮捕されるのは、去年のパク・クネ(朴槿恵)被告に続いて4人目となります。
2013年まで5年間にわたって韓国の大統領を務めたイ・ミョンバク氏は、みずからが実質的に所有しているとされる自動車部品会社の訴訟費用を財閥系企業のサムスン電子に肩代わりさせ、見返りにサムスン電子の会長に恩赦を与えたり、情報機関 国家情報院の資金を複数の大統領府高官を通じて不正に受け取ったりした収賄などの疑いが持たれています。
検察は、賄賂の総額が日本円でおよそ11億円に上るとしていて、先週、事情聴取を行ったうえで、今月19日、「重大な犯罪の疑いがあり、証拠隠滅のおそれもある」などとして、ソウル中央地方裁判所に逮捕状を請求しました。
これを受けて裁判所は、22日、逮捕状を出すのが妥当かどうかを判断するための審査を行っていましたが、韓国の通信社 連合ニュースによりますと、裁判所は、22日夜遅く、逮捕状を出しました。
韓国メディアによりますと、裁判所は「容疑者の地位や犯罪の重大性などに鑑み、証拠隠滅のおそれがあるので、拘束の必要性が認められる」と説明しているということです。
ソウル市内の自宅で待機しているイ氏は、まもなく逮捕される見通しですが、インターネットに「大統領になって過去の誤った慣行を絶ち、きれいな政治をしようと努力したが、不十分な部分があった。願わくは、いつか私の真の姿を取り戻し、言うべきことを言うことができると期待する」という声明を発表しました。
韓国の大統領経験者が逮捕されるのは、1995年のチョン・ドゥファン(全斗煥)、ノ・テウ(盧泰愚)の両氏、それに、去年のパク・クネ被告に続いて4人目となります。
-- NHK NEWS WEB