韓国のイ・ミョンバク（李明博）元大統領は、実質的に所有しているとされる自動車部品会社の訴訟費用を財閥系企業に肩代わりさせたり、情報機関の資金を不正に受け取ったりした収賄などの疑いで、２２日夜遅く、検察に逮捕されました。韓国の大統領経験者の逮捕は、去年３月のパク・クネ（朴槿恵）被告に続いて４人目で、この１年間に保守系の前大統領と元大統領が相次いで逮捕される事態となりました。
２０１３年まで５年間にわたって韓国の大統領を務めたイ・ミョンバク容疑者は、みずからが実質的に所有しているとされる自動車部品会社の訴訟費用を財閥系企業のサムスン電子に肩代わりさせ、見返りにサムスン電子の会長に恩赦を与えたり、情報機関 国家情報院の資金を、複数の大統領府高官を通じて不正に受け取ったりした収賄などの疑いが持たれています。
検察は、賄賂の総額が日本円でおよそ１１億円に上るとしていて、先週、事情聴取を行ったうえで、今月１９日、「重大な犯罪の疑いがあり、証拠隠滅のおそれもある」などとして、ソウル中央地方裁判所に逮捕状を請求していましたが、裁判所が２２日夜遅く、逮捕状を出し、ソウル市内の自宅で待機していたイ元大統領は、検察に逮捕されました。
裁判所は、逮捕状を出した理由について、「容疑者の地位や犯罪の重大性などに鑑み、証拠隠滅のおそれがあるので、逮捕の必要性が認められる」と説明しています。
イ元大統領は、側近の国会議員らに見送られて検察の車に乗り込み、パトカーに先導されて、およそ２０分かけてソウル近郊の拘置所に移送されました。
逮捕に先立って、イ元大統領は２１日付けの自筆の声明をフェイスブックに掲載し、この中で、「大統領になって過去の誤った慣行を絶ち、きれいな政治をしようと努力したが、至らない部分があった。願わくは、いつか私の真の姿を取り戻し、言うべきことを言うことができると期待する」とつづっています。
韓国の大統領経験者が逮捕されたのは、１９９５年のチョン・ドゥファン（全斗煥）、ノ・テウ（盧泰愚）の両氏、それに、去年３月のパク・クネ被告に続いて４人目で、この１年間に保守系の前大統領と元大統領が相次いで逮捕される事態となりました。
-- NHK NEWS WEB
