福島第一原子力発電所の事故に伴う賠償などのため国が東京電力に支援している13兆円余りの資金の回収に、最長であと34年が必要だとする試算を会計検査院がまとめました。3年前の試算に比べ回収にかかる期間が7年延び、会計検査院はこれに伴い国の財政負担も増えると指摘しています。
福島第一原発の事故によって東京電力が、避難を余儀なくされた人や農作物の被害を受けた人たちに支払う賠償費用などについて、国は13兆5000億円の国債を発行して資金援助を行っています。
会計検査院が、国がこの資金を回収するために今後どのくらいの期間が必要かを試算したところ、最短で17年、最長で34年かかることがわかりました。
回収にかかる最長の期間は3年前の試算よりも7年延びています。
これについて会計検査院は、避難生活の長期化や除染費用の増加などによって国の支援額が3年前より4兆5000億円増えたことや、東電が国に返済する際の原資となる株式の売却益が当初の想定より低くなっていることなどが、原因だとしています。
回収の長期化によって国が金融機関から調達した資金の利息も増加し、財政負担は前回の試算よりも最大で900億円余り増え、2182億円に上るとしています。
東京電力は、支援を受けた13兆5000億円のうち4兆円を株式の売却益で、1兆6000億円を国の財政支援で、残りの7兆9000億円を他の電力会社とともに毎年収めている負担金で返済する計画ですが、東京電力の株価は現在、事故前の4分の1ほどの水準で推移し、会計検査院は早期の返済のために収益力の改善や企業価値の向上に取り組むよう求めています。
一方、廃炉や汚染対策にかかる費用が8兆円に上ると専門家らが試算していることについて会計検査院は、廃炉の費用は東京電力の経営や資金の返済見通しにも影響することから適切に見積もりを行うよう求めました。
-- NHK NEWS WEB