東芝は、経営再建策の一環として決めた半導体子会社の売却について、日本の独占禁止法に当たる中国の競争法の審査の手続きが済んでいないため、目標としていた今月中には間に合わない可能性があることを明らかにしました。
東芝は去年9月、半導体子会社の東芝メモリを、アメリカの投資ファンドなどでつくる“日米韓連合”に2兆円で売却することを決めました。そして、この売却が半導体市場の競争をゆがめることにならないか、8つの国や地域で競争法の審査を受ける手続きを進めてきました。
東芝によりますと、これまでに日本とアメリカ、EU、韓国、台湾、フィリピンそれにブラジルの審査が終わりましたが、中国の審査の手続きが済んでいないということです。
このため、東芝は26日、「現時点では売却の完了時期は未定で、早期の完了を目指す」というコメントを発表し、目標としていた今月中には売却できない可能性があることを明らかにしました。
東芝は当初、ことし3月期も債務超過が続くと株式が上場廃止になるため、今月中に東芝メモリを売却することが重要な課題になっていました。
しかし、その後の去年12月、海外の機関投資家による6000億円規模の資本増強を行った結果、売却が遅れても、債務超過や株式の上場廃止は免れる見通しです。
それでも東芝メモリの売却を進める理由について、東芝は、毎年数千億円規模に上る設備投資の資金を自前で確保することは難しいためとしています。
ただ、中国の審査がさらに長引いたり、技術の流出につながりかねない条件が示されたりした場合には、株主の間から高い収益力を持つ東芝メモリの売却を白紙に戻すよう求める声が強まることも予想されます。
-- NHK NEWS WEB