原発事故をめぐる裁判で、東京電力の株主が、政府の事故調査委員会による非公開の聴き取りの記録を裁判の証拠として提出するよう国に求めたのに対して、東京地方裁判所は「非公開の記録を提出させると、今後の事故調査で関係者の協力を得ることが難しくなりかねない」として、申し立てを退けました。株主側は高等裁判所に抗告する方針です。
東京電力の株主の一部が歴代の経営陣らに対して原発事故の損害を会社に賠償するよう求めている裁判では、政府の事故調査・検証委員会が関係者に行った聴き取りの記録を証拠として審理するかどうかが争われてきました。
記録の多くは非公開のままで、株主側が証拠として提出し、内容を明らかにするよう求めたのに対して、国は「個人の責任追及が目的ではなく、非公開の前提だった」と反論していました。
27日の決定で、東京地方裁判所の大竹昭彦裁判長は「事故の原因究明のためには、調査で得られた資料を責任の追及に使わないという前提が必要なことはよく指摘されている。非公開の記録を提出させると、今後の事故調査で関係者の協力を得ることが難しくなりかねない」として、株主の申し立てを退けました。
株主の弁護団は年明けに東京高等裁判所に抗告することを決め、会見で「国の言い分をすべて認めた決定で、大変残念だ」と述べました。
-- NHK NEWS WEB