ことしの地価公示は、3大都市周辺を除いた「地方圏」の地価がプラス0.04%と26年ぶりに上昇に転じました。外国人旅行者の増加でホテルや店舗向けの土地の需要が高まっているためで、地価の上昇が地方にも波及しています。
地方は今、どう変化しているのか。各地からの報告です。
「高騰」とも言えるニセコ地区・倶知安町の地価。
ここ最近は、2030年度末に予定されている北海道新幹線の札幌延伸を見越した投資も活発になっています。
スキー場のふもとにあるリゾートエリアの中心地、通称「ひらふ坂」では、新たに高級コンドミニアム2棟の建設が進んでいます。
このうち、シンガポールのデベロッパーが手がける物件は、来シーズンのオープンですが、シンガポールや香港の投資家による購入が相次ぎ、すでに9割近くが売れたということです。
さらに、活発な不動産投資の余波は今、リゾート地だけでなく、市街地にも広がり始めています。
新幹線の駅ができる予定のJR倶知安駅の周辺では、土地を買い求める動きが活発化しています。中でも多いのが、公共工事の関係者などの入居を見込んだアパートの建設です。町によりますと、アパートの建築確認申請の件数はおととしから急増し、去年は37棟と、3年前の3倍近くに上っているということです。
さらに、駅周辺の商業地への先行投資も相次いでいます。
JR倶知安駅前の商店街は、一見、何の変化もありませんが、NHKが道路沿いの土地18か所の登記を取ったところ、半数近くにあたる7か所は去年売買が行われたばかりでした。
地元の不動産会社の橋詰泰治社長は「新幹線の札幌延伸は投資家にとって周知の事実となっていて、地価の上昇傾向は2030年まで続くのではないか。市街地も争奪戦になりつつあり、安い価格でいい土地を求めることが難しくなっている」と話しています。
-- NHK NEWS WEB