12年前、東京・港区で高校生がエレベーターに挟まれ死亡した事故をめぐる裁判で、検察は、保守会社の3人を無罪とした東京高等裁判所の判決に対して上告しないことを決めました。この事故で刑事責任を問われた全員の無罪が確定することになり、遺族は「問題があいまいになる」と訴えています。
平成18年6月、東京・港区のマンションで高校2年生だった市川大輔さん(当時16)が扉が開いたまま動き出したエレベーターに挟まれて死亡しました。
点検を行っていた保守会社の会長など3人は業務上過失致死の罪に問われ、1審の東京地方裁判所は「点検の時には異常が起きていた」として執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。
これに対して2審の東京高等裁判所は、今月14日の判決で「異常は点検後に生じた可能性がある」として3人に無罪を言い渡しました。
東京高等検察庁は28日、「上告できる理由を見いだせない」として上告しないことを明らかにしました。
この事故では、メーカーの「シンドラーエレベータ」の元社員も無罪が確定していて、刑事責任を問われた全員の無罪が確定することになりました。
亡くなった高校生の母親の市川正子さんは「理不尽な形で奪われた息子の命に対して誰も責任をとらないことを考えると、到底受け入れることはできません。無罪判決は問題をあいまいにするものだと思います」と訴えています。
-- NHK NEWS WEB