電通は、労働基準法違反の疑いで書類送検されたことを受けて28日夜、記者会見を開き、石井直社長が「過重労働は決してあってはならないことで、深く責任を感じている」と述べ、来年1月に辞任することを明らかにしました。
28日午後7時に始まった会見で、電通の石井社長は冒頭、「このような事態を招いたことを重く厳粛に受け止めている。改めて、亡くなられた高橋まつりさんのご冥福をお祈りするとともに、心よりおわび申しあげます」と謝罪しました。
そのうえで、「過重労働は決してあってはならないことで経営を預かる身としてざんきに堪えず、深く責任を感じている。全責任をとって来年1月の取締役会で社長を辞任する」と述べ、来年1月の取締役会で辞任することを明らかにしました。
辞任を決断したのは、高橋さんの命日の今月25日、遺族に直接謝罪ができたためだとして、「遺族への謝罪を最優先にしたかった。きょう書類送検があって企業としての責任を考えて決断した」と述べました。
過労死が相次いだ企業の風土については、「最高の品質のものを出そうと仕事を断らない社員の資質は否定すべきではない。ただ、経営として歯止めをかけられなかったことや一定の基準を作れなかったことは深く反省している」と話しました。
また、中本祥一副社長は、高橋さんが亡くなったことについて、「業務の時間が急増し、仕事への取り組みや職場での人間関係が強い心理的ストレスになったことが自殺の原因であることは否定できない」と説明しました。
そのうえで、「高橋さんの業務経験が浅かったことを考慮すれば、パワハラとの指摘も否定できない、ゆきすぎた指導があったことも確認している」と述べました。さらに労働組合との取り決めに違反する長時間の労働があったとして、「コンプライアンスの意識が希薄だったことや結果として長時間労働を容認していたことを深く反省している」と述べました。
-- NHK NEWS WEB