宮崎駿監督と並ぶ日本アニメーション界の巨匠で、「アルプスの少女ハイジ」や「火垂るの墓」などの作品で知られる、アニメーション作家の高畑勲さんが,5日、都内の病院で亡くなりました。82歳でした。
高畑さんは三重県出身で、東京大学文学部の仏文科に在学中、フランスの長編作品「やぶにらみの暴君」に影響を受けて、アニメーションの世界に関心を持つようになりました。
昭和34年には東映動画、今の東映アニメーションに入社し、昭和43年にアニメーション映画の金字塔とも言われる「太陽の王子ホルスの大冒険」で初めて監督を務め、注目を集めました。
昭和46年には後輩の宮崎駿監督とともに退社して、会社を移籍しながらテレビシリーズの「ルパン三世」や「アルプスの少女ハイジ」、「母をたずねて三千里」それに「赤毛のアン」などの作品を手がけました。また、宮崎監督の「風の谷のナウシカ」にはプロデューサーとして参加し、人間と自然の関係性を壮大なスケールで描き、高い評価を受けました。
昭和60年には宮崎監督とともにスタジオジブリを設立し、その3年後に公開した野坂昭如さん原作の映画「火垂るの墓」では戦争に翻弄される兄と妹の姿を描き、モスクワ児童青少年国際映画祭でグランプリを獲得しました。
その後も、「おもひでぽろぽろ」や「平成狸合戦ぽんぽこ」、それに「ホーホケキョとなりの山田くん」など社会的なメッセージが込められた作品を多く発表しました。高畑さんは平成21年には、ヨーロッパの伝統ある映画祭、スイスのロカルノ国際映画祭で、映画界への長年の貢献が評価され、名誉豹賞を受賞しました。
さらに、平成25年に14年ぶりの長編映画「かぐや姫の物語」を発表し、その独特な映像美が話題となって、後にアメリカのアカデミー賞にノミネートされたほか、平成26年には、世界最大級のアニメーションの映画祭、フランスの「アヌシー国際アニメ映画祭」でアニメーション映画の発展に貢献してきた監督に贈られる「名誉クリスタル賞」を受賞するなど、国際的にも高く評価されてきました。
また、平成27年にはフランスの芸術文化勲章を受章し、高畑さんは「名誉ある勲章をいただき大きな誇りを感じる」と喜びを語っていました。
関係者によりますと高畑さんは、5日、都内の病院で亡くなったということです。82歳でした。
-- NHK NEWS WEB