脳卒中を起こした患者に投与すると、リハビリの効果を高める可能性のある化合物を横浜市立大学などの研究グループが発見し、ことし臨床試験を開始することになりました。
脳卒中は脳の血管が詰まる脳梗塞や血管が破れる脳出血などがあり、年間30万人以上が発症し、早期に専門的な治療を受けても手足にまひが残るケースが少なくありません。
横浜市立大学や製薬会社の富山化学工業などの研究グループは脳卒中と同じ状態になったサルやマウスに、特殊な化合物を投与したうえでトレーニングをさせて手や前足の動きを3項目で評価しました。
その結果、およそ1か月で運動機能はいずれも大幅に改善し、特にサルの指先の動きは投与しないとほとんど回復しなかったのに対して、投与すると機能がほぼ発症前の状態に回復したということです。
グループでは、特殊な化合物が脳の損傷を受けた部分をう回する新たな神経回路の構築を促したと考えられるとしています。
グループによりますと、リハビリの効果を高める薬はこれまで開発されていないということで、ことしの冬ごろから脳卒中でリハビリを行っている患者を対象にこの化合物を投与する臨床試験を始めたいとしています。
横浜市立大学の高橋琢哉教授は「リハビリ患者の生活の質を向上させることにつなげたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB