裁量労働制を不正に適用したとして、労働基準監督署が是正勧告した野村不動産で社員が自殺し、過労が原因だったと認定されたことをめぐり、加藤厚生労働大臣は参議院厚生労働委員会で「従業員の過労死について、去年12月に労災認定したことを公表させていただく」と述べました。厚生労働省はこれまで、過労死の事実を公表していませんでした。
野村不動産は、企業の中枢部門で経営に関わる企画の立案などにあたる人を対象にした「企画業務型」の裁量労働制を、営業活動などにあたる一般職の社員らに不正に適用していたとして、去年12月、労働基準監督署から是正勧告を受けました。
また、おととし9月には、裁量労働制を不正に適用されていた50代の男性社員が自殺し、長時間労働による過労が原因だったとして、去年12月、労災認定されたことが明らかになっています。
加藤厚生労働大臣は、10日の参議院厚生労働委員会で「遺族の意向を踏まえ、野村不動産に勤めていた従業員が過労死したことについて、去年12月26日に新宿労働基準監督署が労災認定したことを公表させていただく」と述べました。
厚生労働省はこれまで、個人情報を保護するためとして、過労死の事実を公表していませんでした。
また、野党側が、社員の過労死が、去年12月の野村不動産に対する是正勧告の重要なきっかけになったのではないかとただしたのに対し、加藤大臣は「過労死の請求事案については、しっかりと企業に監督指導するのが原則だ。今回も過労死の請求などを踏まえながら、野村不動産に監督指導を行った」と述べました。
一方、東京労働局の勝田智明局長が、去年12月26日の記者会見で野村不動産の社長に対する特別指導を発表したことに関連して、加藤大臣は「どういう場合に特別指導を行い、公表するのか、運用のルールを議論して、結論を得たい」と述べました。
-- NHK NEWS WEB