一方、政府が海賊版サイトを対象にした「ブロッキング」の導入を検討していることについて憲法やプライバシー、情報法などの研究者らでつくる「情報法制研究所」も(じょ)きのう(11日)緊急提言を発表しました。この中では、「政府が具体的なサイト名を挙げてブロッキングを要請することになると、憲法が禁止している検閲にあたるおそれもある」としています。そして「政府がブロッキングを要請することが認められることになれば、今後、さまざまな違法サイトへのブロッキング要請を否定することが難しくなり、通信の秘密だけでなく、法治国家の原理が危機にさらされるおそれすらある」として、冷静な議論が必要だと提言しています。
海賊版サイトは、無断でアップロードされた漫画やアニメが無料で閲覧できるサイトで、「コンテンツ海外流通促進機構」は、被害の大きい3つのサイトの去年9月からことし2月までの被害額を4300億円に上ると試算しています。
政府は、対策の一つとしてプロバイダーに対して悪質なサイトを個別に指定し、利用者の接続を遮断する「ブロッキング」という技術の導入を検討しています。
これに対して、大手インターネットプロバイダーなどで作る「日本インターネットプロバイダー協会」は、12日反対の声明を発表し、「ブロッキングは、通信事業者が海賊版サイトを利用しない人も含めてすべての利用者を対象にウェブサイトのアクセス先を監視することが前提になり、電気通信事業法が禁止する通信の秘密の侵害にあたる」として、政府からブロッキングの要請があったとしても、事業者は原則応じることはできないとしています。
一方、政府が今回のブロッキングの対象として検討している海賊版サイトの一つは、11日からアクセスができない状態になっています。
-- NHK NEWS WEB