仕事上、結婚前の旧姓を使っているIT企業の社長が、日本人どうしが結婚する時に夫婦別姓を選べないのは憲法に違反すると訴えている裁判が始まりました。社長が投資家に誤解されるなど不都合があると訴えたのに対して、国は訴えを退けるよう求めました。
民法では夫婦は同じ名字にすることが定められていますが、日本の戸籍を持たない外国人と結婚する場合は、原則として別姓になり、同じ名字を選ぶこともできます。
これについて、ソフトウェア開発会社「サイボウズ」を経営する青野慶久社長(46)は、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、東京などの男女3人とともに国に賠償を求めています。
裁判は16日から東京地方裁判所で始まり、青野社長は、株式の名義が旧姓の「青野」ではなく妻の名字になっているため、投資家に自社の株を保有していないと誤解されるなど不都合があると説明し、「現在の制度は経済的損失を招いている」と訴えました。
一方、国は訴えを退けるよう求め、具体的な主張は今後の審理で明らかにすると述べました。
裁判の後、青野社長は会見を開き「日本は一律ということを重んじてきましたが、今後は多様な個性を尊重し、選択肢を与えて社会を作る時代になります。夫婦別姓をぜひ実現したい」と話しました。
-- NHK NEWS WEB