アメリカのオバマ政権は民主党のコンピューターがロシア政府からサイバー攻撃を受けたとされる問題などで報復措置を発表し、ロシアの情報機関とその幹部などに対して制裁を科すとともに、アメリカに駐在しているロシア政府の当局者35人に国外退去を命じました。
この問題はアメリカでことし6月、民主党のコンピューターがサイバー攻撃を受けて党幹部のメールが流出したもので、アメリカ政府は10月、大統領選挙に影響を及ぼそうとしたロシア政府の仕業だと発表しました。
これについてアメリカのオバマ政権は29日、報復措置を発表し、サイバー攻撃などに関わっていたとしてロシアの2つの情報機関と情報機関の幹部4人、それにサイバー攻撃を支援した3つの企業に対して制裁を科すと発表しました。
さらに、ロシアでアメリカの外交官に対する警察などによる嫌がらせが急増していることへの対抗措置として、アメリカに駐在するロシア大使館の外交官などロシア政府の当局者35人に対し、72時間以内に国外に退去するよう命じました。
オバマ政権は今月に入ってシリアやウクライナの情勢をめぐってロシアに対する制裁措置を相次いで打ち出しており、今回の報復措置の発表でオバマ政権とプーチン政権の関係が一段と悪化するのは避けられない見通しです。
一方、来月20日に就任するアメリカのトランプ次期大統領は、ロシアによるサイバー攻撃への言及を避け、プーチン大統領との関係改善に意欲を示しています。
オバマ大統領は29日の声明で「すべてのアメリカ国民はロシアの行動を警戒すべきだ。今回のような行為はロシア政府の最も高い地位の人物しか指示できない」としてプーチン大統領の関与を示唆し、トランプ氏の対応にくぎを刺しました。
-- NHK NEWS WEB