北朝鮮が、対話姿勢を打ち出す一方で、今もサイバー攻撃を続けていることが、アメリカ政府高官への取材でわかりました。この高官は、北朝鮮が資金獲得のため、今後、仮想通貨などを狙った攻撃を増やす可能性が高いとの見方も示しました。
アメリカ政府でサイバーセキュリティーを統括するジョイス大統領特別補佐官が、このほど、NHKのインタビューに応じました。
この中でジョイス氏は、このところ対話姿勢を打ち出している北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)政権について「最近の対話の動きを受けても、サイバー空間での北朝鮮の行動に変化はない。世界でサイバー攻撃を続けていて、われわれは警戒している」と明らかにしました。
そのうえで北朝鮮がサイバー攻撃で、おととし、バングラデシュ銀行から大金を盗み出したことや、去年、身代金要求型のウイルスで世界各地に被害をもたらしたことを挙げ、「北朝鮮は制裁の影響で国際的なビジネスができなくなっていることから、サイバー攻撃で今後も資金の獲得を試みる」との見方を示しました。
とりわけ韓国で、仮想通貨交換会社を狙ってサイバー攻撃が相次いだことを指摘し、「北朝鮮は仮想通貨を盗むのにかなり成功している。ビットコインは1つで数千ドルの価値があり、大金を稼ぐのに多くの労力を必要としない」と述べ、仮想通貨を狙った攻撃を増やす可能性が高いと説明しました。
また、ジョイス氏は、北朝鮮がサイバー空間で、アメリカの重要なインフラ施設や多くの企業を狙って活動した形跡があると明らかにしたうえで、もし北朝鮮との対話が進展せず、国際社会が圧力を最大限高めれば、「北朝鮮がインフラ施設を狙って攻撃してくる事態を懸念している」と述べ、警戒を強めていると強調しました。
一方で、トランプ政権の新しい戦略では、報復措置としてサイバー攻撃の選択肢もあると説明し、インフラ施設が攻撃されれば、アメリカがサイバー攻撃に乗り出すことも可能だと明らかにしました。
-- NHK NEWS WEB