南海トラフ全域を対象に巨大地震発生の可能性を評価する新しい情報の運用が始まってから1日で半年になります。情報が出た際の防災行動について、地域によっては独自の対応を打ち出すところも出てきていて、専門家は、国が指針を示すのを待つだけでなく地域ごとに議論を進める必要があると指摘しています。
「南海トラフ地震に関連する情報」は、気象庁が、それまでの予知を前提とした東海地震の情報の発表を取りやめて新たに運用を始めたもので、南海トラフでふだんに比べて巨大地震が発生する可能性が高まった場合などに「臨時」の情報が発表されます。
この情報の運用が始まって1日で半年になりますが、「臨時」の情報が出た場合、住民や自治体、企業などがどう対応すればよいか、国はまだ明確に示しておらず、先月、検討会を立ち上げて本格的な議論を始めました。
一方、これに先立って国は、「静岡県」と「高知県」、それに「中部経済界」をモデル地区に指定し、住民や企業、病院、それに学校などと議論を進めてきました。
このうち、静岡県内の学校の中には臨時の情報が出た場合、児童や生徒を自宅に帰さず校舎の屋上など津波が到達しない高い場所に待機させるなどの独自の対応を打ち出すところも出てきています。
これについて、国の検討会の主査を務める名古屋大学の福和伸夫教授は、「情報が出たあとの対応が決まっていないのは危険なので、国の基本的な方向性を早く示す必要がある。その一方で、地域や組織ごとに対応が異なることもあり、多くの国民が当事者意識を持つ必要がある」と述べ、国が指針を示すのを待つだけでなく、地域ごとに議論を進める必要があると指摘しています。
-- NHK NEWS WEB