航空各社の運航便数が増加し、パイロット不足が問題となる中、これまで大手に限られていた自社でのパイロットの養成が、中堅の航空会社やLCC=格安航空会社の間でも広がっています。
外国人観光客の増加による運航便数の増加やLCCの事業拡大などで、航空各社の間ではパイロット不足が深刻化しつつあり、エア・ドゥでは、去年からことしにかけて、相次ぐ機長の退職で合わせて60便が欠航するなど影響が出ています。
世界的にもパイロットの獲得競争が激しくなる中、採用した社員を一からパイロットとして養成する「自社養成」の動きが、大手以外の中堅の航空会社やLCCに広がっています。
このうちスカイマークは、これまで、航空大学校の卒業生やほかの航空会社のパイロットを採用してきましたが、4年前から自社養成を始めました。これまでにパイロット候補生として採用した46人のうち、4人がこの春から実際の乗務に就きました。
その1人、新庄晃平さん(29)は「乗客を安全快適に目的地に届けられるよう事前の準備からフライトまで気を引き締めて頑張っていきたい」と話していました。
副操縦士になるまでには日本やアメリカで3年から4年かけて訓練を行い、1人につき5000万円ほどの費用が必要とされ、これまで自社養成は大手の全日空や日本航空だけが行ってきました。
スカイマークの小田美喜雄運航本部長は「相当な時間とコストが必要ですが、パイロットの確保は重要で自社養成に力を入れていきたい」と話しています。
国土交通省によりますと、国内で養成されるパイロットは、現在、年間およそ300人ほどですが、2030年には年間430人のパイロットを採用しなければ航空各社は運航を維持できなくなるおそれがあるということです。
スカイマーク以外では、LCCのピーチ・アビエーションも来年度からパイロットの自社養成を始めることを決めていて、航空各社の間でパイロット確保のための動きが活発化しています。
-- NHK NEWS WEB