「だるまちゃん」シリーズなどユーモラスな作風で知られる絵本作家のかこさとしさんが、今月2日、慢性腎不全のため神奈川県藤沢市の自宅で亡くなりました。92歳でした。
かこさんは現在の福井県越前市の出身で、東京大学工学部に入学後、演劇研究会に入り、子ども向けの演劇の脚本を書き始めました。
卒業後は一般企業に務めるかたわら絵本を書き、昭和34年にダム工事の様子を森の動物たちの視点で描いた「だむのおじさんたち」で絵本作家としてデビューしました。
宇宙の謎や地球の仕組みなど、科学をわかりやすく解説する絵本を手がけた一方で、日本の伝統的な子どもにまつわる風習をユーモラスに表現した作品など600点余りを発表しました。
代表作のひとつ「だるまちゃん」シリーズは、好奇心旺盛な主人公の「だるまちゃん」が、季節ごとの子どもの遊びを通して友達や家族と温かくふれあう様子を描き、昭和42年に1作目が出版されてから50年以上にわたって人気を集めています。
かこさんは、平成20年に菊池寛賞を受賞したほか、翌21年には絵本を通じて科学の楽しさを子どもたちにわかりやすく伝えたとして、日本化学会の特別功労賞を受賞しています。
関係者によりますと、かこさんは持病の治療を続けていた一方で、ことし1月に「だるまちゃん」シリーズの新作を3冊出版するなど、90歳を迎えても精力的に創作活動を続けていましたが、今月2日、慢性腎不全のため、神奈川県藤沢市の自宅で亡くなったということです。
-- NHK NEWS WEB