8万7000人余りが犠牲になった中国の四川大地震から12日で10年となりました。中国政府は復興の成功を強調していますが、学校校舎のずさんな工事で子どもが犠牲になったと訴える親たちは、政府への批判が広がることを恐れる当局から今もなお厳しい監視を受けています。
2008年5月12日に起きたマグニチュード8.0の四川大地震では広い範囲で建物が倒壊し、死者・行方不明者は8万7000人余りに上りました。
中国政府は地震のあとおよそ29兆円を投入して住宅の再建や橋や道路のインフラ整備などを進め、地元政府は被災地域のGDPは震災前の3倍に増えたと強調し、国営の中国中央テレビも新しい街が観光客らでにぎわう様子などを伝えています。
その一方で、被災地の一部では地震を機に企業が撤退したり住民が流出したりしているほか、観光業でも利益を得ているのは一部で、地域経済を支える産業の振興は遅れているといった不満の声が出ています。
四川大地震では学校が倒壊したにもかかわらず周辺の建物は残ったところが相次ぎ、学校校舎のずさんな工事による人災を強く疑う声が根強く残っています。
しかし、子どもが犠牲になったと訴える親たちは陳情に出かけるのを当局に阻止されるなど、政府への批判が広がることを恐れる当局から厳しい監視を今もなお受けていて、悲しみとやりきれない思いをさらに深くしています。
-- NHK NEWS WEB