シカやクマなどに農作物を食べられる被害があと絶たない中、100年以上前に日本で絶滅したオオカミの遠ぼえで追い払う装置を北海道の奈井江町の会社が作り、効果が注目されています。
この装置はシカやクマ、イノシシによる農作物の被害を減らすため、奈井江町の金属加工会社の「太田精器」が製作しました。「スーパーモンスターウルフ」と名付けられ、オオカミに似た形をしています。
シカなどが近づくと、装置の近くに設置したセンサーで感知し、首を振りながらオオカミの遠ぼえに似た音を出します。大学の研究者から提供された実際のオオカミの鳴き声の音源を合成するなどして、遠ぼえに似た音を作り出しました。
同じ音を出し続けるとシカなどが慣れてしまう可能性もあるため、複数のオオカミの遠ぼえを出すことができるほか、犬の鳴き声や人が叫ぶ声、それに爆竹の音など、58種類が収録されています。
オオカミは日本では100年以上前に絶滅しましたが、かつてはシカなどにとって天敵でした。去年の夏、千葉県の農協が導入したところ、シカなどの被害が大幅に減ったことをきっかけに「オオカミ効果」が話題となり、会社ではこの春から本格的に量産をすることになったということです。
すでに青森県のリンゴ農園で導入されているほか、アメリカやフランスなど海外からも問い合わせがきているということです。
太田精器の太田裕治社長は「いつかは自動で動き回るよう改良したりして、究極の撃退装置にしていきたい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB