中国を訪れている北朝鮮高官の代表団は、内陸部の陝西省など地方での視察を続けています。北朝鮮側は、今後も代表団を派遣する考えを示唆していて、制裁緩和を見据えて、中国からの経済協力に期待を高めていることをうかがわせています。
北朝鮮のパク・テソン朝鮮労働党副委員長が率いる代表団は、今月14日から中国を訪問し、現在も地方で視察を続けています。
内陸部、陝西省の地元政府によりますと、代表団は今月17日に西安を訪れ、パク副委員長が省トップの書記と会談したということです。
これに先立って、代表団は北京で視察を行い、中国科学院やインフラ関係の企業、それに農業の研究施設を訪れたことをNHKの取材班が確認しています。
このうち中国科学院は、ことし3月にキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長が訪れた場所で、一行は先端技術の展示会を視察したとみられます。
また、インフラ関係の企業は、北京で地下鉄や高速道路の整備事業を担う国有企業で、インフラ整備にも高い関心を示していることがうかがわれます。
NHKの取材班が、農業の研究施設の視察現場を撮影した映像では、ピョンヤン(平壌)を含む北朝鮮各地のトップ、少なくとも10人の姿が確認でき、都市や地方の代表が勢ぞろいしています。さらに、経済や農業を担当していると見られる副首相2人の姿もあり、今回の訪問が地方の開発も念頭に置いた経済視察を目的としていることがわかります。
中国の国営メディアによりますと、今月16日に習近平国家主席と会談したパク副委員長は「中国の経済運営と改革開放の経験を学ぶことが目的だ」と述べたほか、別の共産党高官との会談で、「われわれは第1陣の訪問団だ」と述べて、今後も代表団を派遣する考えを示唆しています。
中国メディアは、代表団が中国最大の経済都市、上海を訪れ、19日に上海市トップの書記と会談したと伝えていて、北朝鮮が制裁緩和を見据えて、中国からの経済協力に期待を高めていることをうかがわせています。
-- NHK NEWS WEB