地球温暖化対策に消極的なトランプ氏が今月20日、アメリカの新しい大統領に就任することについて、環境政策に詳しい専門家は「世界の対策にマイナスの影響は出ると思うが、トランプ氏がいずれ姿勢を変える可能性もある」と述べ、日本はアメリカの動向を見極めながらも着実に対策を進めることが重要だと指摘しています。
今月20日にアメリカの大統領に就任するトランプ氏は、選挙期間中、地球温暖化対策の国際的な枠組み、パリ協定から脱退すると主張していたほか、その後、新政権の環境保護局長官やエネルギー長官に温暖化対策に消極的な人物を起用すると発表し、これまで世界をリードしてきたアメリカの対策が後退するという懸念が広がっています。
これについて、アメリカの環境政策に詳しい電力中央研究所の上野貴弘主任研究員は「対策を進めるという、これまでの方針はなくなるので、当面は温室効果ガスの排出量が下がらず、削減目標の達成も難しくなると思う」と述べ、世界の温暖化対策にマイナスの影響が出るのは避けられないと話しています。
ただ、先進国に温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書からの離脱を決めるなど、同じように温暖化対策に消極的だったブッシュ政権も、後半は積極的になったため、トランプ氏もいずれ姿勢を変える可能性もあるとしています。
そのうえで、上野主任研究員は「アメリカがどういう態度をとっても一度決めたことを続けることが重要だ。途上国支援など企業の技術を生かせる機会が多くあると思う」と述べ、日本はアメリカの動向を見極めながらも対策を着実に進めることが重要だと指摘しています。
-- NHK NEWS WEB