二酸化炭素の排出量が比較的多い「石炭火力発電」の日本の現状や将来の在り方について専門家が意見を交わすシンポジウムが都内で開かれ、海外の研究者が、石炭火力発電への投資を引き揚げる動きが相次いでいるとして、石炭火力発電の事業は大きなリスクになると訴えました。
このシンポジウムは「自然エネルギー財団」が開き、気候変動の影響を研究するヨーロッパのシンクタンクや日本の金融機関の担当者などが意見を交わしました。
このうちシンクタンクの研究者は、日本の石炭火力発電について、稼働状況や建設計画を踏まえ、将来の二酸化炭素の排出量を予測した結果を報告しました。
そして、「『パリ協定』で掲げている削減目標を、コストを最小限に抑えて達成するためには、日本は2030年までに石炭火力発電をほぼゼロにする必要がある。しかし、日本では増設計画が先進7か国の中でも類を見ないほど相次いでいる」と指摘しました。
また、石炭火力発電への投資や融資を引き揚げる動きが相次いでいるとして、「石炭火力発電の事業は、展開している日本企業にとって大きなリスクになる」と訴えました。
自然エネルギー財団の大野輝之さんは「世界のNGOは、石炭火力発電所の増設を進めている日本の企業や政府に対し、批判を強めている。こうした企業は、資金の調達が難しくなっていくだろう」と話していました。
-- NHK NEWS WEB