裁判の証人が刑事訴追のおそれがあるとして証言を拒否した場合に、検察が証人に不利な証拠にしないことを約束して証言を義務づける「刑事免責」の制度が来月1日から導入されます。暴力団などが絡む組織的な事件の裁判で、上層部の関与を明らかにする手段として定着するか注目されます。
「刑事免責」は、刑事司法改革の一環として、捜査協力の見返りに検察が容疑者などの処分を軽くする「司法取引」などとともに、1日から導入される新たな制度です。
刑事裁判の証人は通常、法廷で真実の証言をすることが義務づけられ、拒否したり、うその証言をしたりすれば罰せられますが、みずからが刑事訴追や有罪判決を受けるおそれがある場合は、証言を拒否することが認められています。
このため暴力団や企業などが絡む組織的な事件の裁判では、証人として出廷した実行役が上層部の関与についての証言を拒むケースもあり、法廷での真相解明を妨げる要因の1つになっていました。
新たに導入される「刑事免責」は、こうしたケースで検察が、不利な証拠にしないことを約束したうえで、証人に法廷での証言を義務づけることができます。対象が企業犯罪や組織犯罪などに限られる「司法取引」とは異なり、検察はすべての事件で制度を利用することができ、証人の同意を得る必要はありません。「刑事免責」はアメリカでは定着した制度で、今後国内でどのように運用されるか注目されます。
-- NHK NEWS WEB