定年後に再雇用された嘱託社員が、同じ仕事をしている正社員との間の賃金の格差は不当だと訴えた裁判で、最高裁判所は仕事の内容だけでなく、再雇用だという事情も考慮の対象になるという初めての判断を示しました。そのうえで、今回のケースでは住宅手当や家族手当については格差があっても不合理ではないと指摘しました。
横浜市に本社がある「長澤運輸」を定年退職したあと、嘱託社員として再雇用されたトラック運転手の男性3人は、正社員と仕事の内容が同じなのに賃金に格差があるとして会社を訴えました。
1日の判決で、最高裁判所第2小法廷の山本庸幸裁判長は、格差が不合理か判断する際には、仕事の内容だけでなく、再雇用だという事情も考慮の対象になるという初めての判断を示しました。
そのうえで、今回のケースでは原告が今後、年金を受給することなどから、住宅手当や家族手当については格差があっても不合理ではないと指摘しました。
一方で、精勤手当については仕事の内容が同じである以上、出勤を奨励する必要性に違いはないとして、格差を設けるのは不合理だと判断し、会社に対して賠償を命じました。
判決は同じような形で定年退職した従業員を再雇用している企業などの契約に影響する可能性があります。
-- NHK NEWS WEB