ことしの日本経済は、円安傾向を受けた輸出の増加などで緩やかな回復が続く見通しですが、アメリカのトランプ次期大統領が今後打ち出す政策など、海外の要因で不安定化するおそれもあり、みずからの成長力を高める取り組みが必要になります。
ことしの日本経済について、専門家の多くは、個人消費は引き続き力強さに欠けるものの、円安傾向を受けた輸出の増加や、政府が去年決定した経済対策などが、当面景気を支えると見ています。
さらに、4月からの平成29年度のGDP=国内総生産についても、民間のシンクタンクなど10社は物価の変動を除いた実質で、プラスの0.9%から1.4%の伸び率になるとしていて、緩やかな回復が続くと予測しています。
一方で、今月20日に就任するアメリカのトランプ次期大統領が打ち出す政策など、海外の要因で日本経済が不安定化するおそれもあると指摘します。
今はトランプ氏のインフラ投資や大型減税などへの期待が先行しているものの、就任後、これまでアメリカが主導してきた自由貿易を否定して、保護主義を明確にすれば、日本の経済運営や企業の海外戦略に大きな影響がおよびかねません。
また、ことし国政選挙が相次ぐヨーロッパ各国で、保護主義の広がりが見られることも不透明感を高めています。それだけに日本経済にとっては消費者の間でまん延する将来不安や、成長の足かせとなっている少子高齢化など、構造的な課題への対処を急ぎ、みずからの成長力を高めることが、これまでにも増して問われる1年になります。
-- NHK NEWS WEB