東海道新幹線の車内で3人が殺傷された事件を受けて、新幹線などの鉄道にも航空機と同じような検査が必要だという指摘も出ていますが、課題も多くあります。
空港での保安検査は航空法に基づき航空各社に義務づけられていて、各地の空港では保安検査場を設けて一般の人が利用できる区域と検査を受けた人だけが入れる区域を厳格に分けています。
航空会社や検査を行う会社の関係者によりますと、空港の保安検査には通常1人当たり20秒ほどかかるうえ、危険物の可能性がある場合には、手荷物の中を調べたり、衣服などを確認するためさらに時間がかかります。
このため、国内線の場合、乗客は出発の15分前までに保安検査を終えることが求められています。
一方、鉄道の場合、航空機に比べて運転間隔が短く、乗客の数も大幅に増えます。東海道新幹線では最も短い時の運転間隔は3分、1日360本余りの列車でおよそ46万人の乗客を運んでいます。
鉄道関係者によりますと、空港と同じような検査を実施すれば、今のような短い間隔で定時運行を維持するのが難しくなるいうことです。さらに、鉄道は途中で複数の駅に停車するため、駅ごとに検査を行わなければならず、多くの設備の改修も必要になります。
空港の検査会社の担当者は「爆発物も含めた同じ水準の検査は無理だが、例えば対象を刃物に絞って、改札に金属探知機を設置したり警備員を増やすだけでも抑止効果は期待できる」として、運転間隔や乗客の多さなど、鉄道の特性を踏まえた安全対策について、具体的な議論が必要だと指摘しています。
-- NHK NEWS WEB