子宮頸がんワクチンについて、国が接種の積極的な呼びかけを中止してから、14日で5年になります。この間、国内でのワクチンの出荷本数は、およそ150分の1に減っていて、専門家からは接種の呼びかけの再開を求める声がある一方、再開は理解を得られないといった意見も出ています。
子宮頸がんワクチンは、小学校6年生から高校1年生の女性に対して、公費で受けられる定期接種にして積極的に接種を呼びかけましたが、直後から体の痛みなどを訴える女性が相次ぎ、厚生労働省は、5年前の平成25年6月14日、積極的な呼びかけを一時的に中止しました。
製薬会社の報告によりますと、接種の呼びかけを中止するまでの1年間に出荷されたワクチンは、148万本だったのに対して、去年までの同じ時期に出荷されたワクチンは、1万本余りとおよそ150分の1ほどに減っているということです。
厚生労働省は、ことし1月ワクチンの調査結果をまとめ、接種によって10万人当たり最大859人の子宮頸がんを防ぐ効果が期待される一方、10万人当たり92.1人に副反応が疑われる症状が報告されたとしたうえで、それぞれ個人で接種するか検討してほしいとしています。
これについて日本産科婦人科学会の藤井知行理事長は、「接種の呼びかけ中止が、これほど長く続くのは問題だ。将来日本だけが子宮頸がんを予防できていない国になりかねず、早く接種の呼びかけを再開すべきだ」としています。
一方で、医療政策に詳しい国立成育医療研究センター研究所の森臨太郎部長は、「接種後の症状への不安がなくならないなか、呼びかけを再開しても国民の理解は得られないだろう。国が積極的に接種を呼びかけず個人が判断する任意接種のワクチンに変更するべきだと思う」と指摘しています。
-- NHK NEWS WEB