「ベネッセコーポレーション」の顧客の個人情報が大量に流出した事件をめぐり、住所などが漏えいしてプライバシーが侵害されたとして、全国の180人余りが慰謝料を求めた裁判で、東京地方裁判所は「情報の漏えいで実害が生じたとはいえない」として訴えを退けました。
4年前に発覚した「ベネッセコーポレーション」をめぐる顧客情報の流出事件では、会社側の推計でおよそ3500万人分の個人情報が流出したと見られています。
このうち全国の185人が、生年月日や住所などが漏えいし精神的苦痛を受けたとして、会社側に慰謝料を求めていました。
20日の判決で、東京地方裁判所の朝倉佳秀裁判長は「住所や電話番号などの漏えいは、プライバシーの侵害に当たるが、契約などで日常的に開示することが多く、何らかの実害が生じたとはいえない」として、訴えを退けました。
原告の1人で弁護士の金田万作さんは「いまだに子ども宛てにダイレクトメールが届くなど不安感は非常に大きく、『実害がない』とする判断は、古い考えで納得できない」と話していました。
この事件の情報漏えいをめぐる同様の集団訴訟はほかにも起こされていますが、弁護士によりますと1審の判断が示されたのは、初めてだということです。
ベネッセコーポレーションは「判決内容を精査中で、コメントは控えさせていただきます」とコメントしています。
-- NHK NEWS WEB