アメリカのトランプ次期大統領について、新年を祝う経済団体のパーティーに出席した経営者からは、インフラ投資や減税など積極的な経済政策の効果が日本経済にプラスの影響を及ぼすとして期待する声がある一方で、アメリカが保護主義的な政策に転換することを懸念する発言も相次ぎました。
トヨタ自動車の豊田章男社長は「アメリカを強くしたいというトランプ氏の政策は、良き企業市民になりたいと考えるわれわれと方向性は一致している。雇用の確保と税金を納めることを持続的に行えばトランプ氏にも認めてもらえると思うが、自動車産業は影響が大きいので動向を注視したい」と述べました。
新日鉄住金の進藤孝生社長は「積極的な経済運営に対する期待はあるが、保護主義的な政策をとるのではないかと心配している。NAFTA=北米自由貿易協定が見直されると、日本はメキシコでアメリカに輸出する車や製品を作っているのでなかなかきついことになる。日本経済にとって大変、影響が大きい」と懸念を示しました。
三井物産の安永竜夫社長は「ビジネスを知り尽くしたアメリカ経済の成功者が引っ張っていくわけだから、アメリカ経済にとってよい手をドンドンと打っていくと思う。その流れを受けて為替相場は円安に、また株価も強含みで推移すると思う」と期待感を示す一方で、「政策効果の持続性がどこまであるのかについて注意が必要だし、新興国経済に与える影響もチェックしなければならない」と述べました。
みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長は「いちばん大きな不確実性はトランプ政権の政策だ。特に貿易関係と対外的な外交関係で、どのような政策が打ち出されるののかが不透明だ」と指摘しました。その一方で、「財政を使ってインフラ投資を加速しながらアメリカ経済を押し上げていくという政策によって、アメリカ経済はしばらく好調が続くだろう。これは日本経済にとっても悪い話ではなく、順調にいけばプラスの方向に働くだろう」と述べ、日本経済を押し上げる効果も期待できるという認識を示しました。
-- NHK NEWS WEB