ことしの景気について、新年を祝う経済団体のパーティーに出席した各企業のトップからは、回復が続くものの力強さに欠ける個人消費や海外経済の動向を懸念する声が聞かれました。
新日鉄住金の進藤孝生社長は「いろいろなリスクはあるが、自動車を中心に国内の製造業は底堅いと思う。今後は、オリンピックやパラリンピックの需要も出てくるので、緩やかな景気の回復が続くと思う」と述べました。
三菱商事の垣内威彦社長も「アメリカのトランプ次期大統領は積極的なインフラ投資に加えて減税も実施するということで、アメリカ経済が活況を呈する可能性が極めて強い。輸出産業を中心に日本の企業業績も上向く可能性が極めて高く、少なくとも1年くらいは好調が持続する」と述べ、期待感を示しました。
セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は「円安・株高で始まって非常にいいスタートとなったが、この円安が続けば、原油高と相まってことしの後半にかけて物価高になることが心配だ。お客様の財布のひもはまだ固いので、そのひもを刺激するためにも新しい価値をどれだけ提案できるかにかかっている」と述べました。
三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長も「このところの株価の上昇で高額品の消費は多少、盛り返してきてはいるが、所得の中間層の消費はまだまだ厳しい状況だ。相当の企業努力をしなければこの状況は改善できないと思う」と述べ小売業界からは依然として力強さに欠ける個人消費への懸念が示されました。
みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長は「足元では消費も設備投資も決して強いわけではないが、全体としては回復基調が続くだろう。ただ、日本経済は単独で成立しているのではなくアメリカやヨーロッパ経済の動向に左右されるため、金利や為替の動向次第では、景気がスローダウンする可能性が全くない訳ではない」と述べ、海外経済の動向を注視すべきだという認識を示しました。
-- NHK NEWS WEB