人工衛星で撮影された豪雨の被災地の画像を分析した結果、広い範囲で山の斜面が崩れていることがわかり、まだ把握されていない土砂崩れが数多くあるおそれがあることがわかりました。土砂災害の専門家は「今後の雨などで再び崩れるおそれがあり、実態の把握を急ぐ必要がある」と指摘しています。
西日本を中心とした記録的な豪雨を受けて、民間測量会社の「パスコ」は、フランスの人工衛星が9日に撮影した映像を分析しました。
撮影されたのは、被害が大きかった広島県と岡山県のそれぞれ縦30キロ、横60キロの範囲と、愛媛県の海岸沿いの縦70キロ、横60キロの範囲です。
このうち、広島県を撮影した画像では、呉市の周辺の山で、谷筋に沿って削り取られたような土砂崩れの痕跡が数多くあり、下流にあたる集落が土砂に覆われている様子や、呉市の海沿いにある安浦地区の中心部でも、流れてきた土砂や泥水で茶色くなっている様子も確認できました。
中国地方は「真砂土」とよばれる花こう岩が風化した、もろく土砂災害が起きやすい土に覆われていて、これが被害の拡大にも影響したと考えられます。
また、愛媛県を撮影した画像では、宇和島市吉田町の「法花津」などの地域で、集落の背後にある山の斜面が多くの場所で崩れている様子が確認できます。
今回の画像では、特に広島県や愛媛県の広い範囲で、山沿いを中心に無数の土砂崩れの痕跡があり、まだ把握されていないものも数多くあるおそれがあることがわかりました。
画像を見た砂防・地すべり技術センターの池谷浩研究顧問は「土砂が流れ下らず、山の斜面に残ったままの場所も数多くあり、実態の把握を急ぐ必要がある。今後の雨などで二次災害のおそれがあるが、被害が広範囲で対策が間に合わない可能性もあるので、早めの避難を心がけるなど十分注意をしてほしい」と話していました。
-- NHK NEWS WEB