アメリカのトランプ政権は、安全保障への脅威を理由に、軍事や発電用に使われるウランの輸入についても調査を始めたと発表しました。アメリカ国内ではロシアなどからの輸入でウランの生産量が落ち込んでいて、実際に何らかの輸入制限措置が発動されれば、各国との貿易摩擦がさらに強まりそうです。
アメリカの商務省は18日、通商拡大法232条に基づいて、ウランの輸入が安全保障への脅威となっていないか調査を始めたと発表しました。
これについてロス商務長官は声明で、「軍事や発電用に欠かせないウランのアメリカでの生産量は、およそ30年前には国内の消費量の49%だったが、今では5%にまで落ち込んだ」と述べ、安全保障の観点から公正な調査を行う考えを示しました。
アメリカのウランの関連業界は、ロシアやカザフスタン、それに中国などの政府系の企業による輸入によって国内の雇用が奪われたと主張しています。
アメリカの通商拡大法232条は、安全保障への脅威を理由に、大統領の権限で一方的に輸入を制限する措置を発動できるもので、これまでに鉄鋼やアルミニウムに関税を上乗せする措置を発動したほか、自動車や関連の部品について調査を進めています。
新たにウランについても実際に何らかの措置が発動されれば、各国との貿易摩擦はさらに強まりそうです。
-- NHK NEWS WEB