トランプ次期大統領がNAFTA=北米自由貿易協定の見直しなどに言及していることについて、アメリカ経済や通商政策に詳しい三井物産戦略研究所の山田良平主席研究員は「アメリカが関税を引き上げると言えば、メキシコやカナダも同じようなことを言ってくる可能性があり、協定見直しの交渉はそう簡単に終わらない。さらに交渉の結果を議会で承認を得る必要もあるが、議会下院のライアン議長は関税の引き上げには反対だと言っていて、批准されることも考えにくい」と述べ、見直しは困難だという見方を示しました。
また、山田主席研究員は、仮にNAFTAを離脱してもWTOに加盟しているアメリカがメキシコからの乗用車にかけることができる関税はWTOの一般税率である2.5%が上限になると指摘したうえで、「アメリカからメキシコには食肉や乳製品が無税で輸出されている。離脱した場合のデメリットにも留意する必要がある」と述べました。
また、今後の日本企業の対応として、「アメリカで活動する日系企業は現地で80万人以上の雇用を創出しているし、アメリカからの輸出全体の5%程度を占めるなど大きな貢献をしている。そうした点を新政権に説明していくことがいちばん重要ではないか」と話しています。
-- NHK NEWS WEB