アメリカ政府は、中国とロシアを中心に、北朝鮮の労働者を受け入れている42の国と地域を名指ししたうえで、雇っている企業は制裁を科される可能性があると警告し、北朝鮮への制裁の緩和を検討すべきだと主張する中ロをけん制する狙いがあるものと見られます。
アメリカの国務省と財務省、それに国土安全保障省は23日、北朝鮮の外貨稼ぎに関する報告を発表しました。
報告は、北朝鮮が外貨を得る有力な手段の一つが労働者の外国派遣だとしたうえで、北朝鮮労働者を受け入れている42の国と地域を名指しし、中でも中国とロシアが突出して多いと指摘しています。
そのうえで、北朝鮮労働者を雇っている企業は、制裁を科される可能性があると警告しています。
このほかにも、報告は、北朝鮮が制裁を逃れる手法として、中国企業の下請けをしたり、自国で製造した衣類を中国製だと偽って輸出したりしていると指摘し、各国に注意を呼びかけています。
北朝鮮の労働者をめぐっては、去年12月、中国とロシアも賛成して採択された国連安保理の制裁決議が、原則としてすべての労働者を2年以内に北朝鮮に送還することを定めています。
今回の報告に関して、アメリカ国務省は「北朝鮮が非核化するまで国際社会は圧力を弱めない」とする声明を出していて、制裁の緩和を検討すべきだとする中ロ両国をけん制し、決議に従って北朝鮮労働者の送還を進めるよう求める狙いがあるものと見られます。
-- NHK NEWS WEB