宮崎県にある国立病院機構が運営する病院でおととし男性職員が過労自殺し、労働基準監督署は、男性に違法な長時間労働をさせた疑いで機構と当時の上司を近く書類送検する方針を固めました。国立病院機構が労働基準法違反の疑いで書類送検されるのは初めてです。
おととし7月、宮崎県都城市にある国立病院機構・都城医療センターに勤める20代の事務職員の男性が自宅で自殺し、その後、過重労働による労災と認定されました。
関係者によりますと、男性は電子カルテのシステムの更新を担当していましたが、都城労働基準監督署が調べた結果、自殺した年のひと月の時間外労働が多い時で150時間以上に達し、労使協定で定められていた上限の「3か月で120時間」を大きく超えていたことがわかりました。
このため労働基準監督署は、病院を運営する独立行政法人の国立病院機構と、当時の上司1人を、上限時間を超える違法な長時間労働をさせた労働基準法違反の疑いで近く書類送検する方針を固めました。国立病院機構が労働基準法違反の疑いで書類送検されるのは初めてです。
関係者によりますと、都城医療センターにはタイムカードがなく、残業する場合は本人が勤務記録簿に手書きで記入する仕組みになっていますが、記録上では男性職員の残業時間は労使協定の上限内に収まっていたということです。ところが労働基準監督署が男性のパソコン記録を調査した結果、違法な長時間労働の実態が明らかになったということです。
国立病院機構本部の金森勝徳職員厚生部長は、「労働基準監督署の指摘も踏まえ、よりよい勤務管理に向けた取り組みを進めたい」と話しています。
-- NHK NEWS WEB