宮崎県都城市にある国立病院機構が運営する病院でおととし、男性職員が過労自殺し、労働基準監督署は男性に労使協定の上限の3倍を超える違法な長時間労働をさせた疑いで、機構と当時の上司を書類送検しました。国立病院機構が労働基準法違反の疑いで書類送検されるのは初めてです。
おととし7月、宮崎県都城市にある国立病院機構 都城医療センターに勤める20代の事務職員の男性が自宅で自殺し、その後、過重労働による労災と認定されました。
都城労働基準監督署が調べた結果、労使協定では時間外労働の上限を「3か月で120時間」と定めていましたが、男性は自殺した年のひと月の時間外労働が多いときで160時間に達し、3か月の合計は労使協定の上限の3倍を超えるおよそ440時間に上っていたということです。
このため労働基準監督署は27日、病院を運営する独立行政法人の国立病院機構と当時の上司1人を、違法な長時間労働をさせた労働基準法違反の疑いで書類送検しました。
全国で141の病院を運営する国立病院機構が労働基準法違反の疑いで書類送検されるのは初めてです。
男性の残業時間は手書きの勤務記録簿上では労使協定の上限内でしたが、関係者によりますと、労働基準監督署が男性のパソコンの記録を調査した結果、違法な長時間労働が明らかになったということです。
国立病院機構の楠岡英雄理事長は「職員が長時間労働で亡くなったことを厳粛に受け止め、ご遺族の皆様に心よりおわびします。国の働き方改革を踏まえ、長時間労働の削減を最優先課題として取り組んで参ります」というコメントを出しました。
-- NHK NEWS WEB