アメリカのトランプ政権が、来週、イランに対する経済制裁を発動させるのを前に、イランでは現地通貨の価値が過去最安値を記録するなど国内経済の混乱が深刻化しています。
アメリカのトランプ政権は、イラン核合意から離脱したうえで経済制裁を再開すると表明し、来月6日からはイランの自動車や鉄鋼製品などの分野で制裁が発動されます。
こうした中、イランでは通貨リアルが下落を続けていて、実勢レートは今週、1ドル=およそ10万リアルと過去最低を記録し、ドルに対する価値はこの4か月ほどの間に半減しました。
アメリカの経済制裁の悪影響を懸念し、多くの市民が通貨リアルを売ったものとみられます。
また、国内では輸入品を中心に物価の高騰が続いていて、家電製品がこの数か月で50%値上がりするなど、市民生活を直撃しています。
テヘラン市内に住む会社員の男性は「生活に必要な日用品の支出は2倍ほどに増えました。私たちの暮らしは一層厳しくなり、良くなることはないでしょう」と先行きに対する不安を訴えていました。
イランのロウハニ大統領は先週、中央銀行総裁を更迭し、経済政策のてこ入れに踏み切ったばかりですが、通貨の暴落に歯止めがかかっておらず、アメリカの制裁発動を前に、イラン国内では経済の混乱が深刻化しています。
-- NHK NEWS WEB