韓国で検察が外務省や裁判所に対して異例の強制捜査に乗り出しました。容疑の1つは、戦時中に日本で働かされた韓国の元徴用工をめぐる訴訟で、日本との関係を懸念した外務省からの要請を受けて、最高裁判所が判決言い渡しを遅らせたことだと伝えられています。
韓国の検察は、2日から3日にかけて、外務省と最高裁判所の元審議官が今所属している地方裁判所に対して、異例の強制捜査を進め、資料などを押収しています。
検察は捜査の理由を明らかにしていませんが、メディアは容疑の1つが、太平洋戦争中に日本の工場で働かされた元徴用工の訴訟をめぐり、前のパク・クネ(朴槿恵)政権下で日本との関係を懸念した外務省からの要請で、最高裁判所が判決言い渡しを不当に遅らせたことだと伝えています。
元徴用工の訴訟では、2013年7月に最初に高等裁判所で日本企業に賠償を命じる判決が出され、企業側が上告しました。
韓国の最高裁判所は、通常、半年程度で判決を出すとされていますが実際には長期間にわたって審理が続く場合もあり、元徴用工の訴訟は、およそ5年間判決が出ていません。
検察は訴訟が長期化している裏に外務省と最高裁の間で不正があったと見ているもようですが、一方で、捜査は革新系のムン・ジェイン(文在寅)政権による、以前の保守政権に対する攻撃という側面も指摘されていて、検察の動きが、今後、最高裁判所の判断に影響を与える可能性もあります。
-- NHK NEWS WEB