日米の新たな通商協議で、アメリカ側は貿易赤字を削減するため、日本に自動車や農産物で対応を迫るものと見られます。
アメリカが日本との取り引きで抱えた貿易赤字は去年1年間で688億ドル(およそ7兆6000億円)に達し、中国、メキシコに次いで3番目に多くなっています。
ことしに入っても、1月から6月までの半年間の赤字は346億ドルと、去年の同じ時期より1.9%多くなっています。
このためトランプ政権は、輸入車に対する関税を上乗せする措置を実施する構えを見せながら、日本に貿易赤字を削減するよう求めてくることが予想されます。
特に、アメリカが輸入している日本製品のおよそ3分の1は自動車で、赤字の大きな原因になっていることをトランプ大統領はかねてから問題にしてきました。
日米の協議を控えた今月5日、トランプ大統領はツイッターに、すべての貿易相手国に対して「関税を課されたくないならアメリカ国内で製品を作らせろ」と投稿しています。
トランプ大統領の意向を受けて、協議では日本の自動車メーカーがアメリカの工場で生産を増やすか、アメリカ製の車をもっと輸入するよう求める可能性があります。
もう一つ、トランプ政権が問題にしているのが農産物です。
ライトハイザー通商代表は先月26日の議会の公聴会で、「日本には多くの分野に不公正な貿易障壁がある。その一つは牛肉だ」と述べ、アメリカの農産物をもっと買うよう求める考えを示しました。
アメリカの農業界は、TPP=環太平洋パートナーシップ協定やEU=ヨーロッパ連合とのEPA=経済連携協定で、オーストラリアやヨーロッパの農産物の関税が下がり、アメリカが日本への輸出競争で後れを取ることに危機感を募らせています。
元はと言えば、アメリカがTPPから離脱したことが原因ですが、トランプ政権はアメリカの農業界の声も踏まえ、日本に対し2国間のFTA=自由貿易協定の交渉に入るよう求め、農産物の関税引き下げを迫るものと見られます。
-- NHK NEWS WEB