手で持ち運べるサイズの超小型衛星を安い費用で打ち上げようと、JAXA=宇宙航空研究開発機構が開発した電柱サイズのミニロケットが11日、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられることになり、9日、現地で機体が公開されました。
公開されたのは、JAXAが超小型衛星を打ち上げるために開発したミニロケットで、高さはおよそ9メートル50センチ、直径およそ50センチと電柱ほどの大きさです。これまで地球の上空の観測用に使われてきた、2段式のロケットを3段式にするなどして新たに開発されました。
JAXAによりますと、このミニロケットは人工衛星を打ち上げるものとしては、世界で公表されているロケットの中でも最小クラスで、超小型衛星専用とするロケットは、これまでに例がないのではないかとしています。
今回、搭載される超小型衛星は、縦横それぞれ12センチ、長さ35センチ、重さ3キロで、地球の上空を回る軌道に投入して、地上とのデータのやり取りや地上を撮影する実験が行われます。
衛星の部品には、スマートフォン用のカメラなど一般に広く利用されている民生品が使われているほか、ロケットの部品にも家電製品に使われている民生用の電子部品などが使われ、コストを大幅に削減しています。
今回のミニロケットの開発と打ち上げにかかる費用は、超小型衛星の開発費用を含めてもおよそ4億円と、JAXAのほかの人工衛星の打ち上げに比べて、数十分の1に抑えられています。
超小型衛星をめぐっては、製造や打ち上げにかかるコストの安さから、新たな宇宙ビジネスの市場が広がると世界で関心が高まっていて、JAXAは今回の打ち上げで得られる技術を民間企業に活用してもらいたいとしています。
ミニロケットの打ち上げ責任者を務めるJAXAの羽生宏人准教授は「今回のミニロケットや超小型衛星が実用可能だとわかれば、衛星の打ち上げに挑戦しようという人や衛星を利用したビジネスを考えている人に方向性を示すことができる。絶対に成功させたい」と話しています。
超小型衛星を載せたミニロケットは、11日午前8時48分に鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられる予定です。
-- NHK NEWS WEB