イランに対する経済制裁がおととし解除されて以降、最大規模の投資として注目されていたガス田開発から、フランスのエネルギー大手が撤退したことが明らかになりました。アメリカのトランプ政権が制裁を再開させたことに伴う対応で、イランからの外国企業の撤退が加速しています。
フランスのエネルギー大手「トタル」は去年7月、世界最大級のガス田「サウス・パース」の開発でイラン側と契約を結び、すでに開発を進めていましたが、イランのザンギャネ石油相は20日、国営通信を通じてトタルが正式に撤退したことを明らかにしました。
トタルのガス田開発への参入は、イランが欧米などとの核合意に至り、おととし1月に経済制裁が解除されて以降、最大規模の投資として注目されていました。
しかし、アメリカのトランプ政権がことし5月、イランのエネルギー産業などに対する経済制裁を再開させると表明し、トタルはアメリカ政府に制裁から除外するよう求めていました。
イランでは、アメリカの表明以降、自動車や金融などの分野でヨーロッパをはじめとした外国企業が事業を相次いで見直していて、トタルの判断を受けて、今後、撤退が加速するものとみられます。
一方、ガス田開発の今後についてイラン政府高官は、トタルとともに権益の一部を獲得している中国のエネルギー大手に譲る考えを示していて、中国企業の影響力が強まることも予想されます。
-- NHK NEWS WEB