今月20日に任期を終えるアメリカのオバマ大統領は、地球温暖化対策について、経済成長と両立しているうえ、国際的な枠組み「パリ協定」が発効するなど、世界の動きは変えられないとして、その必要性を強く訴える論文を、科学雑誌「サイエンス」に発表し、温暖化対策に否定的なトランプ次期大統領をけん制しました。
オバマ大統領が9日、「サイエンス」に発表した論文は、「地球温暖化対策の動きは変えられない」と題されています。
この中でオバマ大統領は、アメリカ国内のエネルギー部門の二酸化炭素の排出が2008年からの7年間で9.5%削減された一方、経済成長率が10%を超え、温暖化対策と経済成長が両立していることや、民間企業での温室効果ガス削減や、風力や太陽光といった再生可能エネルギーの導入が進んできたことなどを挙げました。
そのうえでオバマ大統領は、温暖化の進行を示す科学的な証拠が膨大にあり、国際的な枠組み「パリ協定」が去年発効するなど、世界の動きは変えられないとして、対策を進める必要性を強く訴えています。
温暖化対策をめぐっては、トランプ次期大統領が「温暖化はでっち上げだ」と主張し、「パリ協定」から脱退する意向を示すとともに、対策に強く反対してきた人物をエネルギー長官などに起用すると発表しており、オバマ大統領としては、今月20日に任期を終えるのを前に、トランプ氏をけん制した形です。
-- NHK NEWS WEB