実際に働いた時間ではなく一定の時間働いたものとして賃金が支払われる「裁量労働制」を、本来認められない業務に不正に適用した求人がインターネットの求人サイトで相次いでいることから、厚生労働省はサイトの運営者に対してチェックの強化を求めました。
「裁量労働制」は実際に働いた時間ではなく一定の時間働いたものとして賃金が支払われるしくみで、建築士や公認会計士など国が定めた専門的な業務や企業の中枢で経営に関する企画などを行う業務に限って認められています。
ところが、労働問題に取り組むNPO法人によりますと、いずれにも当てはまらず、裁量労働制を適用することが本来認められていない業務に不正に適用した求人がインターネットの求人サイトで相次いで見つかっています。
こうした指摘を受け厚生労働省は、ことし3月から先月にかけて通知を相次いで出し、求人サイトの運営者に対して、チェックを強化するよう求めるとともに、ハローワークに対しても不正な求人を受理しないよう指示しました。
裁量労働制は、仕事の時間配分などの裁量を労働者にゆだねる制度ですでに多くの企業で導入されていますが、専門家からは厳格なルールのもとで運用されなければ長時間労働が助長されるおそれがあると指摘されています。
労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」の今野晴貴代表は「不正な求人がまかり通っている状態で、脱法的に制度を使う企業には、求人を出させないなど厳しく対応するべきだ」と話しています。
-- NHK NEWS WEB