非核化をめぐる米朝協議が難航する中、ウクライナで7年前、ICBM=大陸間弾道ミサイルの技術を盗もうとした罪で服役していた北朝鮮の工作員2人が出所しました。米朝協議では、核やミサイルの知識を持つ人物たちの処遇が焦点の1つなだけに、北朝鮮が2人をどう扱うのか注目されます。
北朝鮮の工作員のリュ・ソンチョル元受刑者とリ・テギル元受刑者は2011年、旧ソビエト時代に弾道ミサイルを開発したウクライナの国営企業の技術者などに接触し、ICBMに使われるエンジンの機密資料などを盗もうとした罪で懲役刑を受け、ウクライナの刑務所で服役していました。
6日、2人のうちリュ元受刑者が出所し、NHKに対して「できるだけ早く北朝鮮に戻る」と述べ、用意された車で敷地内から走り去りました。リ元受刑者も4日、出所したということです。
難航している米朝の非核化協議では、核や弾道ミサイルの知識を持つ北朝鮮の人物たちの処遇が焦点の1つで、アメリカは、研究者らを国外に移住させるよう求めているとも伝えられています。
一方、北朝鮮は、アメリカ本土に届く核兵器の運搬手段としてICBMの開発に力を入れ、とりわけウクライナのエンジン技術を手に入れてから開発が急速に進んだとされます。それだけに、出所した2人の工作員を北朝鮮がどう扱うかは、非核化協議において核やミサイルの知識を持つ人物たちの処遇をめぐる立場を見極める手がかりとして注目されます。
また、ウクライナ政府は、工作員らの逮捕で機密情報の流出は防げたと強調していますが、裁判では、工作活動が1年以上に及んでいたことが明らかになっていて、情報管理体制に懸念を残した形です。
-- NHK NEWS WEB