外国の公務員への賄賂の撲滅などを目指している国際的なNGOが先進各国の取り組みを評価した報告書を公表し、日本は事件の摘発が進んでいないとして企業の内部通報者を保護する制度を充実させるべきだと指摘しています。
報告書はドイツに本部がある国際的なNGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」がまとめたもので、先進国を中心に外国公務員への賄賂を防止する条約に加盟する44の国や地域について去年までの4年間の取り組みを4段階で格付けしています。
格付けが最も高かったのは、32の事件の捜査に着手したと公表したアメリカや、ドイツ、イギリスなど7か国で、捜査当局が積極的に摘発を進めていることが評価されました。
一方、日本の捜査機関が摘発したのはODA=政府開発援助をめぐって東京のコンサルタント会社がベトナムなどの公務員に賄賂を渡したとされる事件だけで、日本は中国や韓国など21の国や地域とともに最も低い格付けになりました。
報告書は日本について「内部告発がなければ汚職の摘発が進まないことは認識されているのに企業が内部通報者を保護する仕組みが十分でない」と分析し、通報者を保護する制度を充実させるべきだと指摘しています。
日本ではことし7月、東京地検特捜部が新たに導入されたばかりの「司法取引」を使ってタイの公務員への贈賄事件を摘発していて、新たな制度の導入などで国際的な評価を高められるか注目されます。
-- NHK NEWS WEB