自民党総裁選挙は、今週10日以降中断していた安倍総理大臣と石破元幹事長による論戦が14日から再開しました。安倍総理大臣は、人生100年時代に備えて3年間で社会保障制度改革を実現させると強調したのに対し、石破元幹事長は、働き方改革で働く人たちの能力をさらに高める支援を行いたいと訴えました。
自民党総裁選挙は、13日に安倍総理大臣がロシア訪問から帰国したことを受けて、今週10日以降中断していた安倍総理大臣と石破元幹事長による論戦が再開し、午前10時から日本記者クラブ主催の討論会が開かれました。
この中で、社会保障制度の在り方について、安倍総理大臣は「経験や知恵が豊富な高齢者がいくつになっても生きがいを持って活躍できる生涯現役社会を実現する。人生100年時代に備えて3年間で社会保障制度の在り方の改革を行っていきたい」と述べたうえで、70歳を超えても年金の受給開始年齢を選択できる仕組みなどを実現させたいという考えを示しました。
これに対し、石破元幹事長は「1人1人の幸せをどう実現するかが大事だ。ひとり暮らしの高齢者が600万人いる中で、生活保護以下の水準の所得の人は300万人だ。こういう人たちに光を与え、働き方改革で働く人たちの能力をさらに高める支援をしていくことは、これから先の日本社会にとって必ず必要だ」と述べました。
また、憲法改正について、安倍総理大臣は「戦後70年、一度も行えなかった憲法改正に挑戦し、国民の皆さんとともに日本の新しい時代を切り開いていく決意だ」と述べ、憲法改正の実現に重ねて意欲を示しました。
これに対し、石破元幹事長は「国民1人1人への誠実な説明なくして、憲法改正をやっていいとはまったく思わない。憲法改正について、安倍総理大臣と方法論が異なるのであれば、国民や投票権のある自民党の党員に示すことは義務だ」と述べました。
さらに、防災対策について、安倍総理大臣は「防災減災、国土強靭化のための緊急対策を3年で集中して行う。防災は、全省庁が取り組まなければならず、それを糾合できるのは総理大臣だけだ。さまざまな課題があるが、防災省を作っていくことを排除せずによりよい防災を考えなければならない」と述べました。
これに対し、石破元幹事長は「災害が起こったら全力で対応するのは政府として当たり前のことだ。災害対応は、24時間、365日、専任の大臣とスタッフが平時からやっていくことが最も必要であり、防災専門の行政の部署が必要だ」と述べ、防災省の設置が必要だという考えを示しました。
-- NHK NEWS WEB