アメリカでは貿易摩擦の激化で、中国からアメリカへの不動産投資が減少することを懸念する声が出ています。
再開発が進むロサンゼルスの中心部には、多くの中国資本が流入しています。
このうち、来年の完成を目指し建設中の、ホテルやマンション、店舗が入る複合施設「オーシャンワイド・プラザ」も中国企業が投資しています。
ことし4月、プロジェクトを進める中国「汎海」の総裁がロサンゼルスを訪れた際は「わが社にとってアメリカでは初のプロジェクトであり、ロサンゼルス地区にとっても過去最大のプロジェクトだ。ロサンゼルスの景色だけでなく、新しい住宅や店舗の提供で、皆さんのライフタイルを変えることになるだろう」とあいさつしました。
ただ、中国企業による不動産投資全体は去年は全米で減りました。
ロサンゼルスではおととしの中国企業による不動産投資額は13億3700万ドルだったのに対して、去年は4億4600万ドルにとどまり、1年間で66%余りも減りました。
中国政府が通貨 人民元安を防ごうと行った資本規制の影響が大きいと見られていますが、米中の貿易摩擦が激化すれば、中国企業はアメリカへの投資をさらに控え、建設業などの雇用にも影響しかねいと懸念する声が出ています。
ロサンゼルス市の元幹部で貿易を推進する団体「ワールド・トレード・センター・ロサンゼルス」の代表を務めるスティーブン・チャンさんは「この5年ほどでロサンゼルスの中心部には中国から直接、何十億ドルもの資金が投じられた。中国の投資家がアメリカで歓迎されていないと感じれば、資金はカナダなどに向かうかもしれない。そうなれば、これまでのような力強い経済成長が見込めなくなる」と話していました。
-- NHK NEWS WEB