車に乗っていて、今にも落ちそうな危険な積み荷を見たことはありませんか。固定が不十分で落下するトラックの積み荷や車の部品など。こうした「落下物」による事故が相次いでいます。このため、10月から事故を防ぐための点検が新たに義務づけられることになりました。そのきっかけとなったのは、1年前に起きた痛ましい事故でした。(岡山放送局 岡野有希子 ネットワーク報道部記者 藤目琴実)
去年10月18日の午後8時すぎ、岡山県津山市の中国自動車道を走っていた軽乗用車が高速道路上に落ちていたタイヤに乗り上げて動けなくなりました。車に乗っていた広島市の49歳の母親と大学4年生の長女は走行車線側の路肩に避難しました。しかし、後ろから走ってきた大型トレーラーが同じタイヤに乗り上げて横転、このトレーラーに巻き込まれて死亡したのです。事故の原因となったタイヤは別の大型トラックの車体に備え付けられていたスペアタイヤでした。
警察の調べで、このスペアタイヤは広島県内の運送会社が運行していた大型トラックから落下したことがわかりました。車体に固定するための金属製の器具がさびて破断し、タイヤごと落下したとみられています。一般道路よりもスピードを出して走行する高速道路。高速道路を運転していて、まさか、タイヤが落ちているとは思いません。タイヤが凶器と化し、親子の命を奪ったのです。
-- NHK NEWS WEB