輸入品に高い関税をかけ合うアメリカと中国の対立を受けて、日本の大手メーカーの一部には生産体制を見直すなどの動きも出てきています。
トランプ政権が発動を発表した第3弾となる制裁措置を受けて「ヤマハ発動機」は、対象になった中国で生産しているゴルフカートのエンジンなどの輸出を増やしていて、制裁の発動前にアメリカの組み立て工場の在庫を積み増しています。
このほか、これまでの制裁措置を受けた動きとしては大手建設機械メーカーの「コマツ」が、中国で生産していたショベルカーなどの建設機械の部品の一部を先月から日本とメキシコに移しました。
大手電機メーカーの「三菱電機」は、レーザー加工機などの工作機械を中国の大連で生産していましたが、先月、名古屋市にある工場に生産を移しました。
機械メーカーの「東芝機械」は中国からアメリカ向けに輸出しているプラスチック部品を作る機械の生産を来月から静岡県沼津市とタイの工場に移すことを決めました。
一方で、事態を静観しているメーカーも多くあります。中国やアメリカに工場がある「トヨタ自動車」や「日産自動車」、それに「ホンダ」や「マツダ」の自動車メーカー各社は、車の生産や部品の調達の現地化を進めていて、生産をほかの国に移す対応は検討していないとしています。
半導体大手の「ルネサスエレクトロニクス」は製品の一部を中国の工場からアメリカに輸出していますが、売り上げの1%程度にとどまることから、当面は状況を静観することにしています。
中国でカーラジオ用のチューナーやパソコン用のブルーレイディスクの機器などを生産している「パイオニア」も、アメリカ向けの売り上げの規模は小さいとして具体的な対応は決めていません。ただ、米中の今後の対立によっては生産体制の見直しを検討するとしています。
-- NHK NEWS WEB